先生の秘密
「藤島先生と言えばさ、生徒会の顧問になったらしいわよ」
「ウソッ!?」
「何で今嘘言う必要があんの」
え、そんなこと聞いてない…。
聖は情報を集めるのが異常に上手い。
多分、全校生徒の基本的な情報なら全て頭の中にインプットされているだろう。
そんな聖だから、情報に対して人一倍のプライドもある。
嘘の情報を提示するなんて、聖に限ってないから確かではあるのだろう。
何だか、逆に先生に裏切られたような気分になる。
聖に言われるまで知らなかったなんて。
私を相談役にするって言ったのは先生なのに。
そんな大事なこと…。
「青葉?」
「へ」
「何その間抜け面、どうでもいいけど授業遅れるよ」
いつの間にか聖もはつかも食器を下げに行くところだった。
慌ててトレーを持って二人に続く。
と、
「うわ……っ!」
何かに躓いて態勢を崩した。
転びそうになって、思わず目をギュッと閉じる。
しかし、床の固い感触も顔へと痛みもなく、
代わりに私の胴体へと巻き付けられた、男らしい腕の感触が残った。