先生の秘密


「青葉、とにかく出るわよ」


隣でポカンと口を開けて固まったままのはつかの腕を掴んで、聖は厳しい口調で私を急かした。


どうしたのか、と聖に視線を向けると、何事もなかったかのように食事を続けている津川くんを一瞥していた。


周りの生徒には勘づかれていないと思ったが、聖にはどうやら無意味だったらしい。






「何、アイツ」


教室に帰ってきた私達は、聖の一言で凍りついた。


教室で弁当派のクラスメートも聖の尋常じゃない空気に当てられたのか、表情を青くさせながら遠巻きに眺めている。


「さ、さぁ…?」


曖昧に笑ってみせる私に、聖は元々つり目気味の眉を引き上げて椅子から立ち上がった。


「さぁ?って何!分かんないのに、足引っかけられるようなことがあるわけ!?」


「そ、そんなこと言われても…」


「下手したら顔に怪我するところだったのよ?!藤島先生が間一髪で抱きかかえてくれたからよかったものの!」


「ちょっと…聖、声大きい…」


案の定、その言葉を聞いたクラスメート達の視線に晒される。



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