先生の秘密
「津川雅祢…津川雅祢…」
何故かブツブツと津川くんの名前を呟くはつか。
…気持ち悪い。
「で?津川のこと、本当に何も知らないの?」
「……う、ん」
知らないと言ったら、嘘になる。
でも、ここで知っていると言ってどうする。
先生のことを言うわけにもいかないし、私にもどうして津川くんから敵意を向けられているのか、さっぱり意味が分からない。
自分でも分からないことを聖に言って、更に混乱させる必要もない。
「そう…、青葉はトラブルメーカーだからね、どこかで恨みを買ってる可能性もないわけじゃないし」
「あぁぁーー!!」
突然、声を上げたはつかに教室中の誰もが驚いてはつかを見た。
はつかは、何かを思い出したように目を見開いている。
「何よ」
聖は不機嫌そうに声を発する。
話していたところに遮られて、些か怒っているようだ。
「あ…いやぁ。てっきりあの子、女とばかり…」
「はぁ?」