先生の秘密


「いや、だってさぁ…初めて会ったときは女の子の格好をしてたし、ナンパされてたし、名前だって女の子みたいだし…」


よく分からないことを、言い訳のように並べるはつかを聖は冷めた目で一瞥している。


「とにかく、原因が分からないことにはまた次も青葉が狙われるかもしれないし、警戒していて損はないわね」


「分かったよ」


確かに、聖の言うことはもっともだ。


でも、津川くんの行動の意味は、きっと会長と先生に関係があると、思う。


これは勘でしかないけれど、もし本当なのだとしたら、とんでもない面倒なことに巻き込まれそうな気がした。






放課後、予想はしていたがやはりというか、藤島先生に呼び出された。


場所は――数学準備室。


あの日、たまたま開いていたとばかり思っていた教室は、そういえば先生に頼まれていた資料を置いてきた教室だったのだ。


先生は、入口に背を向けるようにして、整理されている様子のない書類が積み上げられたデスクに向かっていた。



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