先生の秘密
生徒会長直々に一介の教師のため多忙な時間を割いてまで案内役に徹するなんて、聞いたことがない。
現に、藤島先生以外の教師には、会長どころか役員さえも案内にはつかせないのだから。
それだけ生徒会の権力が強いということが伺える。
何故、藤島先生だけ…。
理事長の考えていることはさっぱり理解できない。
「先輩とは何か進展あったんですか?」
私がそう聞くと、先生はピタリと動きを止め、
「馬鹿言うな…!しゃべるだけでも緊張するっていうのに…」
相変わらず、先輩との仲は全くの進展なしらしい。
というより、先生がチキンなだけな気もするが。
「はぁ…、でも先生が顧問になったってことは、何かしら動いたんでしょう?」
「いや、それがそういうわけでもなくてだな…」
先生は本当に不思議そうに首を傾げ、続けた。
「理事長が俺を推薦してくださったそうなんだが…正直、見に覚えがない」
「えっ?そうだったんですか…」