先生の秘密


「失礼しますー…」


「おう」


外に誰がいるか分からない。


別に何もやましいことはないが、一人の生徒だけ贔屓みたいに毎日出入りするのはよくないだろうということで、必ずこうして挨拶をしてから出ることにしている。


先生は大して気にしていないが、生徒会室も近いためもし内海先輩見られでもしたら私と先生が仲がいいと思われるかもしれない。


そうなると困るのは先生の方だ。


それに、今だよく理由は分かっていないが、津川くんのこともある。


あまり彼を刺激させるような行動は慎むべきという意味合いも込めて、だ。


すると、私の思考を読んだようなタイミングで生徒会室から出てきたのは、内海先輩と津川くんだった。


思わず隠れる場所を探すが、案の定何があるわけもなく、二人に出くわしてしまった。


「あー…、こんにちは?」


「あら、藤島先生と一緒にいた…確か本庄青葉さん、だったかしら」


驚いた。


まさか、生徒会長に名前を知られていたとは。


聖のような目立つ生徒ならまだしも、私みたいな普通の生徒まで知っていたなんて。



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