先生の秘密
そりゃあ、伊勢崎さんは聖にメロメロだけど。
「――分かった。伊勢崎さんの為にも、また来るよ」
「喜ぶわよ。勿論、私も」
フフッ、と笑う霞さんは、女性よりも綺麗だ。
結局、内海先輩がどうして私に理事長のことを聞いてきたのか分からず仕舞いだったけど、得た物は大きかった。
内海先輩、ありがとう。
心の中で感謝しておく。
玄関まで見送りに来る霞さんとすれ違うようにやって来た伊勢崎さんが、送ると言ってくれたけど、やんわりと断って寮の前に帰ってきた。
「あれ、お帰り」
「ただいま、聖」
部屋に戻ると、ルームウェアに着替えた聖が、顔にパックを塗ってソファに寝転がっていた。
「霞さんのとこに行ってきたでしょ」
「うえっ!?何で分かったの?」
「青葉のその緩みきった表情見れば分かるってー」
慌てて顔を摩ると、クスクスと忍び笑いが聞こえる。
「久しぶりだったもんね。どうだった?」
「全然、変わってなかった」
「そりゃあねー、霞さんだもの」