先生の秘密
私がそう言うと、何故か拗ねたように唇を尖らせる聖。
そうね、と投げやりに返すものだから、つい笑ってしまった。
「何よ」
「いやぁ、聖可愛いなぁと思って」
「やめてよね、伊勢崎みたいなこと言うの」
ぷい、とそっぽを向いた聖は、頬が微かに赤い。
こんな姿は珍しい。
伊勢崎さんじゃなくても、可愛いと思う。
こんなこと、伊勢崎さんに言ったら、当たり前です、とか言って怒られそうな気がするけど。
「それより青葉、あれから津川には何もされていないでしょうね?」
「え、うん、まぁ」
「何その曖昧な返事!」
キッ、とパックをつけた状態のまま睨みつけてくるから、その迫力たるや尋常じゃない。
仮装パーティーみたいだ。
「大丈夫だって!会長さんに牽制されてたし」
「会長?」
しまった。
そういえば、このことは秘密だと言っていた。
津川くんとは付き合っていないと本人は否定していたけど、もしあれが逢い引きとかだったらどうしよう。
「会長って、何。何でそこで会長が出てくるの?」