先生の秘密


「い、いや!たまたまだよ?たまたま会長さんが通りかかって…」


「牽制するようなことを津川が青葉にしていたところに出くわした、と」


あぁぁぁ…。完全に墓穴掘ってる。


「ち、違うんだって!」


「何がどう違うの?」


「う…。そ、それは…」


マズイ、このままじゃどんどんドツボにはまりそうな気がする。


「そういえば、私放課後に数学の補習することになったんだよね!」


「は?」


話題変更成功…か?


怪訝そうな顔で私を見つめる聖に、冷や汗が止まらない。


「実は、何か数学だけ酷いことになっててさぁ、びっくりしちゃったよ15点だって」


自虐ネタで笑いを取ろうにも、空気が冷たいものになっていく。


心が折れそうだ。


「だから、多分明日から帰るの遅くなると思うんだ」


「…藤島先生と一緒に?」


「え?うん」


「二人きりで?」


「そ、そうだけど…」


どうしよう!話題を変えることには成功したみたいだけど、不穏な雰囲気が漂っているような気がする。



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