先生の秘密
「ま、美的感覚は人それぞれだし?逆に見る分にはいいけど、彼氏にするなら絶対無理とかあるんじゃないの?」
「うん、まぁ確かにそうだけど」
「それに比べたらアンタの方が大分危険でしょ」
「危険って何さ」
「あ、間違えた。変態でしょ」
「より酷くなってる!」
毒舌っぷりは健在だった。
漫才のようなやり取りが楽しいと思い始めたのはいつだったか。
「どうせ、ご飯はもらってきたんでしょ?」
「うん、グラタン美味しかったよー」
「はいはい。いいわよ、せっかくロールキャベツ作って待ってたのに」
「嘘っ!?」
「本当よ」
ロールキャベツは私の大好物だ。
しかも、聖の作る料理はかなり美味い。
喫茶店でバイトしているというのは伊達じゃない。
聖ははぁ、とため息を吐いてキッチンに向かう。
小さな皿に盛られたロールキャベツを持って戻ってきた。
「いいの…?」
「そんなお預け喰らった子犬みたいな顔されても」
ありがと、一言呟いて口に運んだ。