先生の秘密
第七章 一目惚れ
自分で言うのもなんだが、恋愛において苦労したことはなかった。
黙っていても周りからついてくる。
成績だってよかったし、運動もまぁまぁできた。
自分の容姿を理解してそれをフルに活用したりもした。
やっかまれることも同様に多かったけれど、努力しない怠慢者の戯れ事だと聞き流せば、特に気になることでもない。
だから多分、その今までの恋愛に対するしっぺ返しが来たのだと思った。
まさか、初めて本気で好きになるのが、生徒だとは考えもしなかった。
大学卒業し、順調に教員免許も取得し、後は就職先だけというときに、この崎浜高校の理事長に出会った。
俺が教員免許を取得したと知る友人が、知人を介して紹介してくれたのだ。
それがまさか理事長だとは思いもせず、自分とさほど変わらない年代で、酒の勢いも手伝ってか、話が弾んだ。
元からそっち系の人だと教えられていたので、別に驚きはしなかった。
俺の周りには、何故か特殊な人物ばかりが集まるためか、今更同性愛だのオカマだの言われても偏見は持たないタイプだ。
まだ、理事長はまともな人だとも言える。