先生の秘密


それに加えて、今の状況だ。


新任初日にネックレス片手に女性教師と談話しているなど、嫌み以外の何物でもないだろう。


自覚していたとしても、今更フォローしようがないが。


「それはそうなんですけど…言葉にできない感情が詰まってるっていうか」


「それ、藤島先生の物じゃないんですか?」


怪訝そうに聞く栗原に、一瞬言葉が詰まる。


「貰い物、なんですよ」


「藤島先生、モテそうですもんね」


ふふ、と含み笑いを零す女性教師に、曖昧に笑い返す。


顔は笑っていても、目が笑っていない。


その様子からして、多分女性からの貰い物だと思われたのだろう。


あながち間違いではないが、残念ながらこの人が考えているような展開でないことは確かだ。


想われるのに嫌な気はしないが、今までの経験で面倒な女とそうじゃない女と見分けられるようになったが、まさしくプライドの高そうなこの女性は、面倒な女に他ならないだろう。


というより、よく職場でキャバクラみたいな真似ができるな。


別に公私混同をするなとは言わないが、ここまであからさまな態度を取られてしまっては苦笑いしかできない。



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