先生の秘密
それは隣で会話に混じっていた栗原先生も同じようで、何とも言えない呆れた表情でため息をついていた。
「もうすぐ始業式ですよ。藤島先生も巫先生も早く支度なさったらどうです」
「あぁ、もうそんな時間でしたか。ありがとうございます、栗原先生」
話を逸らしてくれた栗原先生に内心感謝する。
悪い人ではなさそうだ。
女性教師、巫(カンナギ)先生は、不満げに唇を尖らせて納得していない様子ながらも渋々自分の席に戻っていった。
「だから困るんですよ、学校をキャバクラだホストだと勘違いしてるんじゃないですか」
…前言撤回。
かなり嫌みな人だった。
体育館に着くと、生徒会役員があちらこちらへ動き回っていた。
それは生徒会長の内海も例外ではなく、てきぱきと指示を飛ばしながら、生徒代表の式辞の確認を行っている。
今年度の生徒会顧問はまだ未決定らしく、内海の仕事はそれらも全て含まれるため、実質生徒会の権力であるといっていい。
先程まで入学式を執り行っていたのだから、今日の内海は休む暇すらないだろう。
それでも、疲れたそぶりを微塵も見せない内海には素直に感嘆する。