先生の秘密
第八章 補習開始!
放課後、私は数学準備室の前にて、固まっていた。
今日から数学の補習である。
LHRで藤島先生から何度も念を押されてしまったため行かないわけにもいかず、こうして重い足を引きずって来たのだが。
「えー!?先生、まだ終わんないのー?」
「せっかくデート誘いに来たのにぃー」
いやいや、デートって…。
数学準備室の中から聞こえてくるのは、1オクターブくらい高い、かしましい女子達の声だ。
多分、三年のお姉様方だろう。
「やかましい、仕事なくってもお前達となんかデートに行くかっての。彼氏とでも行け」
「何それ、冷たーい!先生でも生徒と付き合ってる人なんてたくさんいるよ?」
キャッキャッ、と笑いながら藤島先生の周りでたむろする先輩の様子が想像できる。
「馬鹿か、ほら受験生いい加減帰れー」
「えー…」
「今から補習組のやつが来んの」
「もしかして、先生と二人っきり!?」
「おうよ」
「ずるーい!」
さ、更に入りにくくなった。