先生の秘密
「もういいよ、じゃあ今度遊んでねー」
「誰が遊ぶか」
ガラッ、という音とともに扉が開く。
案の定、出てきたのは、派手なメイクやきつい香水を纏わせた、ギャル系女子三人だった。
こちらに気づいた様子もなく、名残惜しげに準備室を振り返りながら帰っていった。
完全に見えなくなってから入ると、先生がニヤニヤと悪い笑みを浮かべて私を見ている。
「何なんですか」
「いや?ちゃんと来たなーっと思って」
LHRで嫌な顔をしていたのに気づいていたらしい。
誰しも怒られることを承知で行きたいと思う人はおるまい。
「それじゃあ、始めるぞ」
そう言って先生は、私が必死に目を逸らしていた大量の書類から束の問題用紙を取り、私の目の前に置いた。
「あのー…」
「これ全部、な」
マジか!
叫び出さなかった自分を褒めてやりたい。
聞きたいことを先回りして念を押す先生に、思わずため息が出る。
「分からないとこあったら、聞け。それ以外はできるだけ自力で解いてみなさい」
こういうときだけ、先生っぽいこと言うんだから下手に反抗できない。