先生の秘密


「もういいよ、じゃあ今度遊んでねー」


「誰が遊ぶか」


ガラッ、という音とともに扉が開く。


案の定、出てきたのは、派手なメイクやきつい香水を纏わせた、ギャル系女子三人だった。


こちらに気づいた様子もなく、名残惜しげに準備室を振り返りながら帰っていった。


完全に見えなくなってから入ると、先生がニヤニヤと悪い笑みを浮かべて私を見ている。


「何なんですか」


「いや?ちゃんと来たなーっと思って」


LHRで嫌な顔をしていたのに気づいていたらしい。


誰しも怒られることを承知で行きたいと思う人はおるまい。


「それじゃあ、始めるぞ」


そう言って先生は、私が必死に目を逸らしていた大量の書類から束の問題用紙を取り、私の目の前に置いた。


「あのー…」


「これ全部、な」


マジか!


叫び出さなかった自分を褒めてやりたい。


聞きたいことを先回りして念を押す先生に、思わずため息が出る。


「分からないとこあったら、聞け。それ以外はできるだけ自力で解いてみなさい」


こういうときだけ、先生っぽいこと言うんだから下手に反抗できない。



< 72 / 131 >

この作品をシェア

pagetop