先生の秘密
「ま、いいや」
…教師がそんなんでいいのか。
まぁ、そういう意味で言えば、前の先生とは正反対だ。
先生に視線を向ければ、ノートパソコンに何かを打ち込んでいた。
そういえば、そろそろゴールデンウイークだ。
そのための課題でも作成しているのかもしれない。
私は、できるだけ先生の邪魔をしないように自力で解いた。
…でも、やっぱり難しい物は難しいよね。
「ゴールデンウイーク?」
「そ、初夏とも相談したんだけど、施設に挨拶しに行こうと思って。青葉はどうする?」
「そりゃあ、二人が行くんなら私も行くよ。シスターにも会いたいしね」
寮に戻ってきた私を待ち受けていた聖は、携帯を片手にそう言った。
シスターに会うのなんて何年ぶりだろう。
長期休暇には必ず孤児院に戻っていたけど、シスターはボランティアであちこちを飛び回っているからなかなか会えないのだ。
でも、ゴールデンウイークだけは違う。
ゴールデンウイークには、近くの教会で賛美歌の合唱がある。
だから、毎年私達は参加するのだ。