先生の秘密
ガンッ、
背中に強烈な痛みを感じて、私は思わず飛び起きた。
「~~~っ…!」
声にならない叫びを上げながら、衝撃の原因を睨み上げる。
「何度も起こしたのに起きないから」
「だからって背中蹴り飛ばすぅ!?」
聖は飄々とした態度のまま、私の目の前で仁王立ちしていた。
仮にも女の子が蹴り飛ばすって何事だ。
今更言っても聖は聞かないから、何も言わずにリビングに向かう。
聖も大人しく私の後を着いてきた。
何だかその様子が普段と違って、振り向こうとすると、私の鼻を摘まれた。
「痛い痛い!」
「あ、ごめん。つい」
ついって…!
怒りに任せて聖の顔を睨むと、何とも言えない微妙な表情を浮かべていた。
悲しさと寂しさと気まずさを掛け合わせたような、そんな感じだ。
「何、泣きそうな顔してんの…?」
泣きたいのは私の方だって。
「変な夢、見なかった?」
「聖が、じゃなくて?」
そんな顔、どちらかといえば聖が夢を見たからじゃないのか。
どうして、私になるんだろう。