先生の秘密
「三人共、今日の賛美歌には参加されるのですか?」
丁寧な口調で語りかけるシスターに、
「もちろん」
三人声を揃えて頷いたのは、言うまでもない。
「やっぱり来てたのねー!」
教会に入るなり、そう叫びながら私達の元に来たのは、従者のごとく伊勢崎さんを後ろに控えさせている、霞さんだった。
あまりに突然の出来事に、聖は珍しく目を丸くし、はつかはポカンと口を開けて立っている。
「霞さん…?え、何で…?」
「何よ、私が来ちゃいけないのー?」
「いや、別にそういうわけじゃ…」
霞さんはプクリ、と頬を膨らませ、可愛い仕種で拗ねている。
シスターは呆れたようにため息を吐いて、後ろで待機していた子供達を中に促す。
「あー!霞さんだー!」
「かすみちゃーん!」
霞さんの姿を捉えた途端、子供達は一斉に霞さんに飛び掛かる。
「うわっ!みんな相変わらず元気ねぇ」
背中にお腹にとくっついているため、冷や汗を出しながら必死に笑顔を保っている。
頑張るなぁ…。