恋は苦い君の味
無くした携帯

「結香、起きなさい」

ママが私の体を揺する。

「ん~…」

あたしは起きたくないと気だるい声を出し軽く拒絶する。

「ゆ、い、か!今何時だと思ってるの!?」

名前を強めこれでもかというほどに体を揺すってくる。

「…何時?」

そんな言動にあたしは布団から顔だけ出して答えてくれと言うように促す。

「もう7時よ!!あんた、遅刻したいの!?」

あたしはその言葉にガバッと体を起こし急いで制服を着る。

「なんでもっと早く起こしてくれないの!?」

「高校生にもなって起こしてもらう子がどこにいるのよ」

「ここにいるじゃん!」

「いい加減にしなさい!!」

そんなありきたりな会話を交わしながらも急いで支度をする。

長い髪を2つに結い、寝癖を隠す。

「朝ご飯食べないで行きなさいよ」

「わかってるって!」

玄関口で靴を履いているあたしにわかりきった事を言う。

「じゃあ行って来ます!」



こんなちょっとした朝寝坊があたしの運命を変えるなんて知るよしもなかった…。

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