恋は苦い君の味
現在、AM 7:09。
電車の時間は7:15。
この電車に乗れなかったら遅刻は決定されている。
家から駅までの徒歩は約7分。
走れば絶対に間に合う。
あたしは重い鞄を背負って急いで駅に向かう。
時間ギリギリでホームに入り電車に乗ろうとドア目掛けてはしっていると、突然柱から出てきた影にぶつかった。
「きゃっ…!?」
ガシャンと耳に入る音をたててポケットから携帯が落ちる。
ぶつかった衝撃が強くてあたしはしりもちをついた。
「いたた…」
「ごめんね、大丈夫?」
目の前には優しく手を差し出している同い年くらいの男の子。
「あ…」
あたしが返事をしようと声を出したその時、
―プルルルルル―
甲高い音をあげた電車のドアが閉まろうとしていた。
(ヤバい、遅刻しちゃう…!!)
あたしは急いで目の前にある携帯を拾う。
「あ、」
彼が声をあげたがあたしはお構いなく謝罪とお礼だけ済ませて電車に飛び乗った。
『飛び込み乗車は危険です―…』
そんな放送の音が聞こえる。
まぁ、遅刻は免れたし、いいや。
…そういえば、彼の制服、うちの学校のだったような……。