自己防衛
それだけの事
音も無く降りしきる雨の中。
涙をこらえる少女を冷めた瞳で少年が見つめていた。
「どうして?」
消え入りそうな呟きを少年のため息が消した。
「…信じてないのはお前だろ」
微かな苛立ちの篭った言葉に
少女が顔をあげると、
重苦しい空気を破るかのように少年が席を立った。
「お前なんだよ、周りを受け入れないのは。
信じようとしないのも
気付かない振りして、
聞こうとしないのも、お前だ」
まっすぐ少女の瞳をみて吐き捨てると
一瞬だけ間を置いて、言葉を続けた。
「一生、独りでいればいい」