幸せよりも欲しいものは何ですか?
ウェイトレスが去ってくのを見て


私は再び口を開いた。


「佐藤さんとなら幸せになれそうな気がするんだ。

でも、やっぱり頭の中で前の彼が消えなくて…。」



『そぅ…。前の彼の所に戻りたいの?』



「分からない。
でも戻っても、彼とは幸せにはなれないの。
それどころか、毎日泣くんじゃないかってくらい辛さに耐えなきゃいけない生活なの。」



『それなのに前の彼が良いの? 俺なら幸せにしてあげれる自信があるよ。』



佐藤さんのアピールが今は重たかった。


それよりこのイタリアンのお店が私には合わなくて落ち着かない。



『…それでも前の彼が良いの? 幸せを望んでないの?』




…幸せを望んでないの?




その言葉が


私の中で強く深く刺された。



何か謎なぞが解けたような

モヤモヤしたものが解けたような



そんな感じだった。

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