幸せよりも欲しいものは何ですか?
私達は 一週間に二回や三回、お泊まりをした。

会う度に私は互いに相手の手を体を求め、重なり合う日を過ごした。


春樹は私を抱き締めながら言う。


『付き合ってと言えなくてごめんな…ちょっと待ってろな。
俺、会う度にお前を抱くけど、ただのセフレだなんて思ってないからな。本当お前の事、大切にしたいって思ってるから…。』


そして私を優しく撫でる。


付き合うとか
付き合わないとか

この時は深く考えていなかった。

ただこの手さえあれば、それで幸せだった。

春樹が春樹の考えでまだ付き合えないと言うなら、私は何も言わない。


その春樹の考えをよく分かってなくて、今目の前にあるその手さえ求めてたから、
私は毎日を幸せに思ってた。


春樹の過去を
何も知らずにこのままでいたら

こんな辛くて苦しい想いなんて知らずに済んだのにね。


私はこの時はまだ、このまま春樹と過ごす幸せな日々を描いてたよ。
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