幸せよりも欲しいものは何ですか？

嬉しさと恐怖が私を襲った。

春樹が喜んで産んでと言うわけない。

どうしよう


どうしよう




どうすればいい？



もう頭の中が真っ白になって倒れそうになった。




今歩いてる道さえ

真っ直ぐに歩けない。




春樹との関係と
ドロドロした感情と
新しい生命の事で


もう 何も考えれなくなった。





…倒れそう…



そう思った時





『大丈夫!?』

「っ!!??」

急に肩を掴まれる。


全然周りを見ずにいたものだから、私は相当驚いた。



『大丈夫？顔色悪いよ？』




私はすぐに意識が戻らなくて

ぼーっと、声のする方を見ていた。


疲労なのか

なんだか視界がはっきりしない。



『大丈夫？』

「…。」




(…あれ…なんか聞いた事ある声…

あ、なんかこの人見た事ある…。)



私は徐々に意識が戻ってきた。


(…あぁ…、…ん？

あれ？)



「え？さ、佐藤さん!?」


私の意識がやっと回復した時

目の前にいたのは

佐藤さんだった。


以前、私に結婚前提での交際を求めてきた

あの佐藤さんだった。