幸せよりも欲しいものは何ですか?
「春樹?」


春樹はマンションのすぐ目の前に立っていた。

そして春樹の前には佐藤さんが立っている。



外は暗く、風が冷たい。



「なんで佐藤さんが居るの?」


『付けてたからだよ。』


「だって今日、車で…」


『今日じゃない。ずっと前からだ。』


「…何のために?」


『何のため?大事な婚約者とずっと一緒にいるためだよ。』


「私は…婚約者じゃない。」


『まだそんな事言うの?』



何を言えば

分かってくれるのか?



そして次に春樹が口を開いた。


『お前はいつからストーカーしてるんだよ。』

『…ストーカー?…ストーカーじゃない…。』

『いいから、いつからコイツの後を付けてた?』



佐藤さんの目は徐々に下を向いていった。


ストーカーと呼ばれ、佐藤さんの表情は固くなる。


何かを考えてるかのように

必死に言葉を探してるかのように。




ただ


『何か言えよ。』



春樹の冷たい声でその沈黙は破られた。



そして佐藤さんは

自分の気持ちや、これまでの行動を

話し始めた。

< 151 / 217 >

この作品をシェア

pagetop