幸せよりも欲しいものは何ですか?
「……。」

目を開けると

窓からの太陽の光が眩しかった。

私は、横になっている。

春樹も
両親も妹も

私を囲んでる。


ここは…


病院?



さっきの声…






赤ちゃん…




「…赤ちゃん…。」

私は呟く。

「子供も無事だって。」

お母さんが返答してくれた。


「…良かった。」


そこに笑顔の人は誰もいなかった。


『ごめんな。』

春樹の声がする。



『お前に辛い思いさせて…本当に悪かった。』




「春樹、謝らないで。
お母さんもお父さんも
もう止めて。

赤ちゃんに
聞こえちゃうから。

命芽生えてくれて
ありがとうって言いたいのに…

こんな形は
やっぱり祝ってくれないの?

私幸せだよ。
春樹の子供を産めて。

だって私、春樹以外に恋する気無かったし。

私凄く幸せだよ。

春樹、
私春樹を責めるつもりないからね。

春樹、
赤ちゃんを与えてくれて、ありがとう。

私、普通の幸せなんかいらないから、春樹と一緒にいたいって思ったけど、

私最高に幸せだわ。」



春樹は何も言わず黙ったまま

真剣に私を見つめ、
私の頭を撫でた。



「生まれてきて良かったって、この子に思ってもらいたいんだ。」



温かい家族を

教えてあげたいから。

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