幸せよりも欲しいものは何ですか?
愛結ははしゃいで疲れたのか、夕方にはもう寝てしまった。

一気に家の中が静かになる。

片付けも順調に進んでいた時だった。



「春樹…。」

愛結が寝てたから、小さな声で話しかけた。


『お前もすっかりママの顔だな。』


春樹は片付けをしながら、そう呟いた。


「春樹こそ、いいパパじゃん。…ここに住む事考えてるって本当?」


マンションは、安いがちょっと広めの部屋を借りてたから、春樹が住んでも問題は無かった。

でもそんな事

全く考えてくれてないのかと思った。


『あぁ。お前と住むのは気が重いけど…』

「…へぇ~。」


私の反応にウヒャヒャと春樹は変な笑い方をして続けた。


『愛結がさ、寂しい思いするのかなって思って。』

「…とか言って~、毎日私に会えないのが寂しいクセに~!素直に言っていいんだよ?」


私はそう言って春樹にしがみつく。


『…あ?殺されたい?』


そう言って春樹は、私の首を絞めるマネをして

私達は笑い合った。


何も変わらない生活だった。






あの子さえ居なければ

この生活が続くのに…


また久しぶりに

醜い感情が芽生えてすぐ消した。

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