幸せよりも欲しいものは何ですか?
私は音を立てずに寝室から出た。

リビングでは春樹がソファの上で横になってる。


「春樹、寝るなら布団入ったら?風邪ひくよ。」

そっと声をかける。


『…悪ぃ…。』


春樹がとても小さな声で謝る。


「…。」

『…。』

「ずっとここに住むつもりは無いんでしょ?
だから徐々に家族の交流を避けてるんでしょ?」


『…。』


「…私は春樹がどこに行こうがそれを承知してるけど…愛結は…?
その事まで考えて同居した?」


『…お前だって、同居する事に反対して無かっただろ。』


「…残酷…。期間限定家族だって、私達は分かってても…愛結は…。」



子供は

純粋で

無実で



傷つけないようにしてたけれど


やっぱり


事実にぶつかれば


傷付けてしまう。



残酷なのは



私も春樹も同じだ。


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