幸せよりも欲しいものは何ですか?
朝…6時半にセットした目覚まし時計が鳴る。

私はすぐに目を覚まし、歩きやすい服を選ぶ。

薄化粧を好む春樹だけど、今日は特別に化粧に気合い入れていこ。
今日だけ許してね。


朝のパンを焼きながら、私は時計を見る。

6時50分。

楽しみで楽しみで仕方無かった。

オーブンで焼かれるパンを待ちながら、私はマスカラを片手にメイクする。
そのまま春樹に電話をかけた。


プルル…

プルル…


なかなか電話に出ない。

しばらくコール音を聞いていた。


『…はい…。』

しばらくして、機嫌の悪そうな低い声が聞こえた。

「もしも~し!! 春樹起きたぁ!!??」

『…お前朝からウゼェ。』

「モーニングコールしてって言ったじゃん。
とにかく起きて!!
遅れちゃうよ!!」

『…面倒くせぇ。』

「ちょっと!!面倒とか言わないでよ!!初めての温泉旅行で楽しみにしてるんだからぁ。」


小さく鼻で笑う声が聞こえる。

『起きるよ。』

「うん。」


電話を切ろうとした時…


『電話…ありがと。』


低い眠そうな声だったけど、はっきりと聞こえた。


「うん!!」


電話を切ると、私は張り切ってメイクをして、こんがり焼けたパンを口にした。
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