幸せよりも欲しいものは何ですか?
案内された部屋は和室だった。
優しい色をした畳
そっと光を通す襖

それはもう、癒しの空間だった。

そんな癒しの空間に、怖い格好をした春樹が立ってるのが不似合い過ぎて、笑ってしまいたくなる。


春樹が荷物などまとめてる中で、私は子供のように部屋の中を歩き回った。


少し太陽が落ちてきた頃だった。

私は窓の外に目を向けた。



「……春樹。」

『何?』

春樹は私の横に並んで窓の外を見た。


そこには綺麗な緑と、透き通る湖と、そこに傾く太陽。


「湖が見える。めっちゃ綺麗。」

春樹は黙って、でも少し微笑んで、私と同じ風景を見てる。


その時、春樹の手が私の頭の後頭部に触れる。
私は春樹の方を向いた。


「……!!」


優しく私達の唇が重なった。

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