幸せよりも欲しいものは何ですか?
私は見なかったフリしか出来なかった。

きっと何かの見間違いだと思うしか無かった。

心臓が激しく暴れ出す。

―見間違いだよ。
何かの間違いだよ。―


そう思っても、心臓の痛みが増す。


目の前で何も知らない春樹が、メールの返事を返して携帯を閉じた。


春樹


ねぇ 春樹


やっぱり、私が予想してたように


春樹は今もまだ元カノが好きなの?


ねぇ


どんな気持ちで
私と温泉に来たの?



『マッサージ、もういいよ。ありがとう。』


私は何も言わず
春樹の上から降りる。



痛い


痛いよ


苦しいよ


今でも

あの子を愛してますか?


『布団に入るか?』


春樹が起き上がって布団の中に入ろうとした。


私は何も返す言葉が見当たらない。


『…寝ないのか?』

いつまでも床に座ってる私に春樹は声をかけた。

目が合った…。


私 どんな顔
してたかな?
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