魔女の報酬2 ~果ての森編~
「そなたらは、少しも変わらぬのだな。よくそれで魔法院の秘蔵っ子を外に出す気になったものだ。魔法使いの血統は厳重に管理されているそうだが? メディア殿が例外と言うわけでもなかろう。しかも、魔法使いは政治や戦争には関わらない。それが掟だとも聞いておる。が、王子妃ともなれば、そうも言っておられなくなるだろう」

 反対の声はあったのだ。その一点をめぐって。
 そして、逆に王家との結びつきを喜ぶ声も。

 けれど、メディアは。

「あの子は」

 ふと王の視線に気づいて、言いかけた言葉をいったん飲み込む。顔は笑っているのに目は完全には笑っていない。熱心にこちらを観察している。子供のように邪気のない外見や、王にあるまじき奇矯な言動に惑わされて、あやうく余計なことまでしゃべらされてしまうところだった。

 これを計算ずくでやっているというのなら、権謀術数に長けた宮廷人たちですらが翻弄されてしまっているであろうことが容易に想像がつく。

 先王レキシスは英明な王としてウィルランドに繁栄をもたらした。現王はニコニコ大王とかコドモおとな王とか、ちまたでささやかれているのにかかわらず、ウィルランドの繁栄はいやましている。なまなかの人物であるはずがなかった。

 油断は禁物である。
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