魔女の報酬2 ~果ての森編~
「それでは余も。これでも剣腕は衰えていないはずだぞ」
ラムルダがせっかく張った予防線も無視して、ミレド二世はやっぱり同伴を希望してきた。しかし、こればかりは譲れない。一国の王である。たやすくつれて歩ける存在ではないのはもちろん、どんな危険があるかわからない。
そして、もうひとつ、邪気のない単なる好奇心の塊と見えて、その裏では何を考えているのか、思惑を読ませない。油断がならないのだ。
そんな人物をかかえこむなど、冗談ではない。
「いいえ、陛下」
ラムルダは紫の瞳を王に向けると、今度ばかりはきっぱりと断った。
「それに陛下にはやらねばならぬことがあるのではないのですか? さっきのことで民人の心も動揺していることでしょう」
いい加減、政務に戻ってくれと婉曲に言っているわけである。
さすがにこれはこの突拍子のない王様にもわかったようで、心底つまらなそうな顔をした。
「しかたがないのう。宮廷の愚か者どもは、愚か者とはいえ、それなりに有能なのだが、不測の事態となるとからしき駄目でな」
この人にも王らしいところがあったのかと、ラムルダは少しは安心しようとした。しようとしたのだが、
「やつらの大騒ぎを見物するのも一興か」
みごとに裏切られた。
ラムルダがせっかく張った予防線も無視して、ミレド二世はやっぱり同伴を希望してきた。しかし、こればかりは譲れない。一国の王である。たやすくつれて歩ける存在ではないのはもちろん、どんな危険があるかわからない。
そして、もうひとつ、邪気のない単なる好奇心の塊と見えて、その裏では何を考えているのか、思惑を読ませない。油断がならないのだ。
そんな人物をかかえこむなど、冗談ではない。
「いいえ、陛下」
ラムルダは紫の瞳を王に向けると、今度ばかりはきっぱりと断った。
「それに陛下にはやらねばならぬことがあるのではないのですか? さっきのことで民人の心も動揺していることでしょう」
いい加減、政務に戻ってくれと婉曲に言っているわけである。
さすがにこれはこの突拍子のない王様にもわかったようで、心底つまらなそうな顔をした。
「しかたがないのう。宮廷の愚か者どもは、愚か者とはいえ、それなりに有能なのだが、不測の事態となるとからしき駄目でな」
この人にも王らしいところがあったのかと、ラムルダは少しは安心しようとした。しようとしたのだが、
「やつらの大騒ぎを見物するのも一興か」
みごとに裏切られた。