魔女の報酬2 ~果ての森編~
 と、瓦礫の山にぼうっとした金色の光が現れた。

「なんだ?」

 構えた杖を下ろして見ると、金の光のなかにぼんやりとした人影が見えた。
 その秀麗な面差しには見覚えがある。

「ロランツ王子!」

 人影はわずかに頷くと、下を指し示し、とつぜん消失した。

(かなわないな)

 ラムルダは素直にそう感嘆した。
 彼はいまは魂だけの存在に過ぎないと言うのに、それでもメディアを護ろうとしている。彼女が何と言おうが、彼は本気で彼女を愛している。

 瓦礫の山の奥深く、梁と梁とが作り出した空間に、メディアを見出したときには、思わず胸を撫で下ろした。幸い、大きな外傷はなさそうだった。

「メディア」

 呼びかけると、彼女はすぐに意識を取り戻した。髪と同じ赤い睫毛がゆれ、ライトグリーンの瞳が現れる。

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