魔女の報酬2 ~果ての森編~
「ラムルダ?」

 どこかまだぼんやりとした様子で応える。

「大丈夫か」

「みたい」

「なら、おいで」

 手を貸して、瓦礫の山のなかからメディアを引っぱり出した。

 メディアは胸にしっかりと抱えていたままだった水晶球を、自分の顔の前に持ち上げのぞき込むと、無事を確認した。それは、幼い頃からメディアを見てきたラムルダが驚くほど、優しげな仕草だった。

 ためらいがちにメディアが口を開く。

「私ね」 

「なんだ?」

 もの言いたげにメディアはラムルダを見上げる。ライトグリーンの瞳は、夜空を彩る星のひとつであるかのようにきらきらと輝き、頬が赤く上気していた。

(この子はいつの間にこんなにきれいになっただのだろう)

 漠然とラムルダは不思議に思った。

「私ね、ロランツを愛しているわ、誰よりも」

 その言葉になぜかどっと疲れを感じて、ラムルダは投げやりに言い放った。

「そういうことは本人に言ってやったら」

「それもそうね」

 メディアはくすくす笑いながらも、水晶球を大事そうに抱きしめた。
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