魔女の報酬2 ~果ての森編~
机の上の書類が青い光を放ちはじめたのだった。
いや、正確に言うと書類の下に埋もれた魔道通信用の水晶球が光っているのだ。
ラムルダはあわてて書類を払いのける。とうぜん、かぶさっている書類の山が、雪崩をうってくずれおちたが、彼はそれにはまったく構わず、舌打ちをしながら水晶球をのぞきこんだ。
机から落ちた書類を反射的に拾い集めていたメディアに、鋭い声を投げかけた。
「メディア、ご覧!」
彼女はせっかく集めかけた書類の束を平気で放り捨て、水晶球をのぞきこむ。そして、そこに見慣れた人物を認めて息を飲んだ。
「ロランツ?!」
さらさらの長い銀髪の、見違えようもないロランツ王子の姿があった。その彼の周りを二つの影が飛び回る。鋭い嘴と爪で王子に襲いかかる。鳥のようだが、爬虫類的な印象。グレムリン!
メディアの見守る中、王子の剣が陽光の中をひらめき、宙を舞うと、あざやかな手並みでその生き物のうちの一匹を一刀両断した。が、その瞬間、奇妙な金色の閃光がほとばしった。ロランツがその場にばったりと倒れ伏すと、映像も途絶えた。
「馬鹿な、あれは使い魔のはず!」
使い魔とその主人である魔法使いの間には、特別な絆がある。一方が傷つけば、もう一方も無事ではいられない。その絆を無視して、使い魔を自分の単なる手駒としてつかうなど、尋常な魔法使いのやることではない。
だが、ラムルダがはっとして目を上げたときには、メディアの姿は影も形もなかった。
いや、正確に言うと書類の下に埋もれた魔道通信用の水晶球が光っているのだ。
ラムルダはあわてて書類を払いのける。とうぜん、かぶさっている書類の山が、雪崩をうってくずれおちたが、彼はそれにはまったく構わず、舌打ちをしながら水晶球をのぞきこんだ。
机から落ちた書類を反射的に拾い集めていたメディアに、鋭い声を投げかけた。
「メディア、ご覧!」
彼女はせっかく集めかけた書類の束を平気で放り捨て、水晶球をのぞきこむ。そして、そこに見慣れた人物を認めて息を飲んだ。
「ロランツ?!」
さらさらの長い銀髪の、見違えようもないロランツ王子の姿があった。その彼の周りを二つの影が飛び回る。鋭い嘴と爪で王子に襲いかかる。鳥のようだが、爬虫類的な印象。グレムリン!
メディアの見守る中、王子の剣が陽光の中をひらめき、宙を舞うと、あざやかな手並みでその生き物のうちの一匹を一刀両断した。が、その瞬間、奇妙な金色の閃光がほとばしった。ロランツがその場にばったりと倒れ伏すと、映像も途絶えた。
「馬鹿な、あれは使い魔のはず!」
使い魔とその主人である魔法使いの間には、特別な絆がある。一方が傷つけば、もう一方も無事ではいられない。その絆を無視して、使い魔を自分の単なる手駒としてつかうなど、尋常な魔法使いのやることではない。
だが、ラムルダがはっとして目を上げたときには、メディアの姿は影も形もなかった。