撒く女【短編】
ブランドバッグから顔を出したのは、玄米の小袋だった。


……はっ?

いや、何でそっちから?

普通玄米はビニール袋からだろう!?


ブランドバッグとあまりにミスマッチなそれに呆気にとられる私をよそに彼女は袋のチャックを開け、中へと右手を差し込み、構える。

そして彼女は慣れた手つきで玄米を例の植え込みの周りに撒いた。


玄米を撒く彼女の動作には全く無駄がない。

華麗とも言える手つきだ。


鳥の餌?

いや、鳥いないし。

花咲かばあさん?

いや、おばあさんって言うにはちょっと若いから失礼だ。


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