爆走★love boy2
☆☆☆

「結構、おもしろかったな」



映画館から出ると樹先輩は余韻たっぷりにそう呟いた。



「そうだね……」



私はあいまいに頷き、先輩の手の中にあるパンフレットを忌々しく睨みつけた。



結局、手をつなぐことさえできなかった。



先輩はあの王道映画を気に入ってしまい、帰るときに売店でパンフレットを2冊購入した。



そのもう1冊は、今私の左手に握られている。



正直、こんな映画のパンフレットなんてなんの魅力も感じない。


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