きみの腕の中で

声がしたのはコンビニの前に溜まってる“アカリ”の仲間の方からではなかった。


コンビニと隣接している駐車場の方からで、しかも建物の陰から姿を現した。


“アカリ”たちは誰ひとりとして声を発するものはいなくて、私のように声の主を…いや、その人物の背後にある複数の人影を含めて『その人たち』を目だけで追っていた。


表現のしかたによっては、怯えたように。


暗くてよくわからなかったその人たちの姿は、コンビニの店内から外の漏れている光によって徐々に照らされていく。


おそらく私と年の近い、十代後半くらいの男だけの集団。


「…満月…」


どこからかポツンと発音された“ミツキ”という、その人たちのなかの誰かの名前。


それが誰のことを示すのかを私はすぐに予想ができた。


第一に、先頭の真ん中を歩いているという理由もあったけど、

その位置を歩いてなくてもきっと私は一目見ただけでその人を“ミツキ”なんだと予想しただろう。

…明らかにここにいる誰よりも圧倒的な、それでもって独特な雰囲気を身に纏っていた。






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