きみの腕の中で
*第一章*
とりあえず一時でもいいから環境を変えたかったんだと思う。
今住んでいる場所から、地域から離れたくて
幼いころに生まれ育った故郷にひとり帰郷した。
ママ側の実家があってそこに滞在させてもらってた。
「美羽、夏休みはいつまでって言ったっけ?」
ふいに、なにをするでもなくボーっとテレビを見ていた私にそんな言葉がかかる。
「…ん~8月いっぱい」
特に声のした方に視線もくれずテレビをみたまま答えた。
「そ。なんでもいいけどまた明るくなったね髪」
「うん」
「へえ…前の色の方が似合ってたよ?」
「え~…そう?ただの茶色じゃん」
「だからこそでしょ」
「私はこれがいーの」
「ま、なんでも似合うわよあんたは」
「なにそれ~」
ばあちゃんはまだ70歳にもなってなくて若いからか、ある程度の私がしていることは理解してくれる。
パパ側のばあちゃん達は私の髪色を見てどこか呆れたような態度を示すようになった。
まあ、どっちかっていうと後者の方が一般的なのかもしれないけど…。