きみの腕の中で
日が暮れてあたりが人工の光で照らされ始めた頃、8センチの高さのあるウェッジソールを履いて外に出た。
ただ単に一人になりたいと思っただけ。
行こうと決めた場所もないから、足の進むほうへ何も考えずに歩いた。
住んでいたのは幼いころ
この辺に決して詳しいわけではない。
でも、もし迷ったら携帯から電話をして帰り道を教えてもらえばいいときう安心感があったから躊躇なくどこまでも歩いた。
ふと、肩に重みがかかったと思って振り向く。
「ねえ、あんたどこの?」
と同時に、明らかに威嚇しているとわかる低さの声が聞こえた。
目に入ったのは、白なのか金なのか…おそらく金
とりあえずお世辞にもきれいとは言えない、痛んだ長い髪を夜道に発色させた女の子。