きみの腕の中で
殴らせたのは確かに私。
それでも、殴られんのは痛いんだよね。
やり返さないでなんていられない。
でもさすが正当防衛という理由が通るとしても人殺しになんてなりたくはない。
だから、彼女の体が地から起き上がることを諦めたのを降参なんだと捉えて私も動きを止めた。
「アカリっ!!」
それから数秒もしないうちに、例のコンビニの方から声が聞こえた。
仲間の子達が駆け寄り、アカリと呼ばれた子を担いだ。
「てんめえっ!!」
そのうちの何人かが一斉に殴りかかってくる。
馬鹿馬鹿しい。
何も危害を加えてない私に手を出してきたのはそっちなのに。
本当に馬鹿馬鹿しい。
自分も戦闘態勢に入ろうとしたときだった…
「やめろ」
低い、威圧的な声がその場に響いたのは。