CHERRY
○プロローグ●
キミはまだ覚えてますか?
中学2年生の春
星が良く見える夜
私はその日の放課後に彼氏にフラれた。
あまりにいきなり過ぎなのか、それとも認めたくないのか
私は泣いていなかった。
多分…、現実を認めたくなかったのかもしれない。
あんなに楽しそうな雰囲気だったのに
あんなに『好き』『愛してる』って言ってくれてたのに
フラれた理由があまりにギャップがありすぎて認められなかったんだと思う。
『お前といてもつまんない。それにやっぱ子供にしか見えない』
分りきってた……、冷静に考えていれば分かっていたこと。
高校3年生から見て中学2年生は子供にしか見えないなんてそんなの分かりきってた。
けれど『好き』『愛してる』なんて簡単に言うことが出来ないって思ってた。
でも実際は違ってた。
『好き』『愛してる』は単なる言葉。
言われた時だけ気持ちはぽわ~んとなってその言葉に酔い痴れる。
私は重症だった。言われすぎて勘違いをしていた。
甘くてとろけそうなキスだって
花火大会の時にこっそりと耳元でささやいてくれた言葉だって
全て本物だと思ってた。
だからこそ認めたくなかったのかもしれない。
フラれた日の夜は星が良く見える夜だった。
私は自分の部屋で泣けずにただ元彼との思い出を走馬灯のように思い出していた。
そんな時、キミが窓からいってくれた言葉
『泣かないの?』
そう言われて、あぁ…フラれたんだって実感した。