CHERRY
涼ちゃんこと藍川涼<アイカワ リョウ>
と
蓮くんこと藍川蓮<アイカワ レン>
は双子。
この双子は両親の良い遺伝子ばかり持っている。
綺麗な顔立ち、モデル並みの背丈、明るく親しみやすい性格、並外れたファッションセンス。
もちろん頭も良くて。
誰が見ても完璧な双子、なのにこの双子は謙虚だ。
…と言っても少しだけど。
でもこの少しの謙虚が今回の問題。
「…蓮くんがどうしたの?」
「…いつものだろ」
「まぁね…、あいつ…『俺は囲まれるほどかっこよくないから大丈夫』って。本当どんなとこに謙虚になってんだか」
「……蓮くん、いつも囲まれてるよね」
「ああ、どーしたらあんな勘違いになんだか…」
3人一斉にあはぁー…とため息を吐く。
「なんだっけ…?たしか…」
「みんな俺に今日のコーディネート聞いてるだけだから……だよな?」
「あたり、本当呆れるよ。んなわけないでしょーが」
「あれはー………蓮くんと話したいからだよね…」
「だな、でも今日は違うだろ。俺ら以外はみんな初対面じゃん」
「あー……女ってズル賢いんだよねー。どーせ、『中学の時から友達になりたいと思ってました!』とかでしょ」
「え、違うよ。『ねぇ蓮くん!私の事覚えてる?』だよ」
「あ~ありえるね。でも蓮が覚えて無いって言ったら?」
「『幼稚園一緒だったじゃん!』って言う。蓮くんは調べないでしょ」
「計算高い女め……。あ、『この香水の匂い覚えてますか?』も居るよ、絶対!!」
「なな?!?!そんなにして蓮くんと話したいの?!」
「話したい人はじゃん??あたしにはよく分からないや」
「……きっと常に一緒にいるからだよ」
「まーね。いつも一緒にいたら嫌って言うほど分かるよ、アイツの事」
眉間にしわを寄せうぇという様な顔をする涼ちゃん。
「涼チャン……。そんな嫌な顔しないであげて、蓮くんかわいそう。それに涼ちゃん可愛くなくなる」
「……ゆずはやっぱり天使だね、うん」
「いや、私死んでないし」
勝手に死んだ設定にされちゃ困る。
私の青春の1ページになるであろう高校生活が始まったばっかりなのに。
……ってかまだ始まってないしね。