CHERRY
「そーゆー意味じゃない、天使のように優しいねってことだよ」
「普通は双子の涼ちゃんが庇うべき所なんだよ?」
「ヤダネ。あんな変なところが謙虚な双子なんて庇いたくないわ」
本当に嫌な顔をする涼ちゃん。
……本当にこの双子大丈夫かな……と本気で心配してしまう。
よく今日まで何にも無かったよね……。
「……ごめん、空気壊すようなこと言うけど……」
涼ちゃんと2人で話していたら、異常な程テンションの低い由が重い口を開く。
「「うん」」
「俺の後で蓮が悲しんでる、……っつか落ち込んでる…?」
そう言って由は自分の背後を指差す。
思わず私と涼ちゃんは顔を見合わせる。
お互いに『それは無いでしょう』と物語っている。
「いや、マジ……です…」
そう言う由は、てあははは… と苦笑いしている。
「いや、由…冗談やめてよ…。あの蓮くんだよ?」
「そーそー、あの楽天家の蓮が……ありえない、ありえない」
恐る恐る由の後ろをのぞき込む。
すると蹲<うずくま>って居る蓮くん。
………マジだったんですか……。
一瞬周りの空気が固まった…気がした。
正確に言えば音が聞こえなくなった。
「涼のバカ……」
「由ごめん、蓮が迷惑かけて」
「それと柚紀も」
「……ねぇ、蓮くんって何に落ち込んでるの?」
「……どーせさっきの話の内容が本当だったんでしょ」
「どーせとか言うな、どーせとか」
「あ、もう立ち直った?」
「まだ………」
「あ、蓮の心は乙女のガラスのハートだもんね」
「…っ…乙女じゃねーし…」
「……早く立ち直りなよ」
「……俺らってやっぱり双子なんだな…」
「はぁ?何なの今さら」
「……………」
「……黙り込んじゃったよ…?」
黙り込む蓮くんに少し心配する。
……もしかしたら蓮くん拗ねた……?
「んー……大丈夫だよ」
「いや、大丈夫じゃないでしょ…。……なんか……拗ねてる?」
「……ある意味、ね」
「…なんか可愛い…」
横目でチロッと蓮くんを見る涼ちゃん。
涼ちゃんにつられて私も見る。