CHERRY

「…可愛くねぇー……」

ぼそりと呟く様に反抗する蓮くん。
両頬が軽く赤みがかってるのが小動物……まるで耳と尻尾を伏せている子犬の様で更に可愛く見える。

「……可愛い…」

私もまたぼそりと呟く様に言う。

「もー、そんな照れ屋だからゆずの゛餌″になんの!ちょっとは男らしい反応しなさいよ!!」

「えー……蓮くんは可愛くないとダメだよ」

「…柚紀が言う事じゃないから。柚紀はこっちおいで」

はぁー…と溜め息をつく由。
本当は従いたくない。

「…ん」

しかし何故か本能的に従わなければいけないと思った。


「とにかくもう立ち直りなさいよ」

呆れた様に言う涼ちゃん。

「んなのとっくに立ち直ってるよ」

「じゃあ何、拗ねてんの?お子ちゃまねー」

「…っ拗ねてねーし!!」

「嘘吐き」

「……っ」

双子の……言い合い?はピリピリとした緊張感がある中行われていて……。
でも私とキミは呑気に話していた。

「……嘘吐きって…?」

「嘘吐いてるんだろ。きっと本当に拗ねてるんだろうな」

「何に対して?」

「涼に対して」

「なんで?」

「柚紀と話してたからじゃねーの?」

「え、何それ」

「蓮は涼以上に特別な思いで柚紀に接してるからな。周りからすればまるで蓮と柚紀が双子みたいだよ」

はぁ…と溜め息をつくとやれやれと言う様な顔をする由。

そうかな……。

そう思ってしまった私。
確かに、何かと名前を呼ばれる。
けれどそれは友達だからであって…特別な思いとかは入ってないと思う…。
……まず、特別な思いって…?

スキ…? ニクイ…? フユカイ…? キライ…? アコガレ…? シタウ…?

………特別な思いって
………どんな気持ち?

「ま、あの関係はどんなに時が流れても一生変わんねーのか…。そー思うと中学の頃は毎日の様に言い合いしてたな」

「……確かに…」

「丁度今みたいに蓮が拗ね始めたのは…柚紀に初の彼氏が出来た頃か?」

クスッと笑いながら言う由。
多分…思い出し笑い。
それにつられて私も笑う。


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