CHERRY
ピースをしながらニッコリと笑う姿は幼さが感じられる
……と言ってもまだ中1だから当たり前、かな。
…と言うか、さっき覚えたって……凄い。
私は誰一人、覚えてない
……覚えようとしなかった。
「蓮は記憶力だけはいいんだよ」
コソッと耳元でささやいてくる涼ちゃん。
「……記憶力だけ?」
「そッ。多分…自己紹介の時に大抵は覚えてるよ」
「うそっ、……ありえない」
男の子には失礼だけど……
そんなに頭が良くなさそう………
………って偏見か
人は見た目じゃないね、うん。
「………ず、……ゆず?」
「な、何?」
「蓮の事……紹介してもいい?」
紹介……
男の子だよね
……友達として
苦手だな…
男としてじゃないもんね
……でも可愛い男の子だもんね
弟みたいな子……だから……
大丈夫
「勿論、彼氏候補として!」
「…え、は?!な、なんで…?」
じゃない。
彼氏なんて………んな中学から居なくても良いでしょう……。
「なんでって……蓮が彼女欲しがってるから?」
「蓮くんの都合なんだね……」
「あれ…、嫌だった?」
「うん。それこそ涼ちゃんが彼女になってあげれば良いんじゃないの?私は蓮くんの事あんまり知らないしね」
「あ、あたしは蓮の」
キーンコーンカーンコーン
「………予鈴なっちゃった」
「あ、あはははー……。…じゃああとでね」
………怪しい……
けどいいや。
あんまりあの男の子には関わらない方がいいな……
……やっぱり男の子は苦手だ……。
涼ちゃんはそのまま席についてしまった。
私もつられて席につく。
すると左隣りの由からコソッと話しかけられる。
「友達出来たんだ」
フンワリとした笑みで聞く由。
「う、うん…」
「なんか寂しいーねー」
「はぁ?……なんで…」
「なんとなく」
「……?」
「まぁ…、せっかく友達出来たんだから仲良くしろよ」
「う、うん…」
そう言って優しく微笑む由。
いつ見てもきれいだなーって惚れ惚れしそう。