CHERRY
『やっと本気出すのか~…。最初から出してくれればいいのに…』
そう心の中で呟くとクスッと笑う声がした。
その声はもちろん、私の髪を弄ってる由の声。
「由…?」
「俺はいつでも本気出してるよ?」
「……はぃ?」
「それに騙されてる柚紀が気付かないだけ」
「騙されてる……?」
「そっ」
また短く返事した由はシュッと私の髪全体に水を吹きかける。
「騙されてるってどういう事?私がいつ由に騙された?」
「柚紀がお団子作ってる時、俺がお団子の位置うるさかっただろ?」
「……あぁっ!!!!あれどうみたって後ろすぎだよね?!?!」
「まぁな。柚紀は失敗するって思ってたから俺が後でやる髪型の位置にしといたワケ」
「どーせ私は不器用ですよーだ!!!」
「ハイハイ、そう簡単に拗ねんなよ;」
「すねてない!!」
「あーハイハイ、分かったよ。ほら、今からやっから、ちゃんと前向け」
クイ、クイと頭を動かされる。
ムスっとなる私。
『別に拗ねてなんかないし…』
そう思いながら鏡を見ると、鏡で由と目が合う。
いつもと違う顔
そうだ…、由はいつでも本気
特に髪を弄っている時
楽しいそう……
鏡に映る由の瞳をぽわ~~んと見ていたら由はクスッと笑った。
その顔にドッキっとしてしまい思わず視線を逸らす。
「だーめ、今から魔法かけんだから、しっかり前向けよ」
そう言われまた、クイっと頭を動かされる。
「……/////////!!!!!」
「バカ、顔真っ赤」
「う、うるさいっ!!早くやって!!」
「ハイハイ」
そう言うと髪を結び始める。