CHERRY

頭に由の指が触れるたびにびくっとなる私。

由は低体温だから指先は冷たい。

でも頭のマッサージの時は気持ちいい……♪


「ん、完成」


そう言われて出来た髪型。

「うわぁーー………、ふわふわしてるー♪」

「けぇぷ使ったからな」

「ふーん……」

『凄い……。ふわふわぁ~……、私もけぇぷ買おうかな?』

少し髪型のふわふわ加減の余韻に漬かっていた。

すると後ろではぁーと聞こえる。

「早く準備しろ。あと5分で出ないと遅刻する」

「5分?!?!ちょっ、まだメイクしてなーい!!」

「今日くらいスッピンでいいじゃん」

「最初が肝心なのにダメ!!!それに私にとってメイクは命…!!!!」

「じゃあ俺先出る」

「わー!!それはもっとダメ!!一緒に行く!!」

「ハイハイ、じゃあ行くぞ」

「うん!」

急いで必要な物だけ鞄に入れる。

「んー…、こんぐらいかな…?」

「…お前女のくせにすくなっ…」

「だって今日はスッピンなんだもん」

「あぁ…そっか」

「……ん、おっけー!!いこっ!」

「ん」

階段を降り、玄関へ向かう。

「あら、もう行っちゃうの?」

リビングからピョコっと顔を出して言う。

「もうって…これ以上いたら遅刻する時刻なんですが……」

「あらそう……、ゆーちゃんの事もう少し見たかったわ……」

「ゆーちゃんって…、しかも見たかったって…、まぁいいや…」

「何よもー…、あっ柚紀メイクしてないじゃない」

「今日はスッピンで……」

「化粧道具持ったの?」

「持ってるわけないじゃん」

「あら、高校ではスッピンデビュー?!?!」

「なんでそーなんの……」

「そのつもりでメイク道具置いてきたんじゃねーの?」

「はぁ?!?!んなわけないでしょーが!!」

「じゃあ早く持って来いよ」

「なんで」

「……お前忘れた?」

「なにが」

「「今日から寮生活、忘れてんだろ」忘れてたの?」

由とお母さんの声がハモった事にハマった私。

「…………………っ」

「「……………………」」

「…っハモった…!!」


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