CHERRY
○2粒●

「…ねぇ」

「………」

「……おーーいっ」

「…………………」

「由」

「何?」

「遅刻するんなじゃないの、このペースだと」

「余裕にきまってんじゃん」

「はぁ?!?!なにその余裕」

「柚紀といる時は30分前行動してんの。これでも気つかってんだけど」

「ご苦労様だね~」

「ご苦労様にさせてる奴は何処の誰だと思ってんだよ」

「私でしょ?んな事言われなくたって分ってるってば♪」

「嫌味のつもりで言ったんだけど」

「ハイハイ、今の私には嫌味は褒め言葉なのでーす」

「……はぁ………、早く行くぞ」

「ん」



―――――――――
――――――
―――


あの後、電車で30分乗り、徒歩5分で着いた。
今は豊野学園の校門に居る。そして一言。


「……いつみてもこの学園は感動する」



「柚紀の場合は学園じゃなくて植物だろ」

「まぁね」

校舎はとても綺麗で感動するが……

植物(特に花)に興味がある私は、豊野学園に植えられている植物の多さと美しさに感動する。

「由!みて、ソメイヨシノだよ」

「ハイハイ、花は俺に近付けるな。花粉が飛び散る」

「……由っていつから花粉症?」

「覚えてねーよ。気付いたら花粉症になってた」

「…大変だね」

「あぁ」

そんな話をしながらクラス分けの紙を見に行った。




「……私なんか悪い事したっけ?」




「昨日髪乾かさなかったじゃん」

「……いや、それは多分関係ないかな、うん」

「じゃあ俺しらねーけど?」

「……ではこれは悪運ですか?強運ですか?」

「……なんでそこに幸運がねーんだよ」

「じゃあ強運でということで」

「強運もなにも単なる偶然だろ、幼稚園からずっと一緒だなんて」

「………ですよね」
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